介護福祉士実務者研修とは?介護職員初任者研修との違いや受講条件など徹底解説
介護福祉士実務者研修は、介護職としての幅広い知識とより実践的な技術を習得できる資格で、介護職員初任者研修の上位資格として位置付けられています。
介護福祉士を実務経験コースで目指す場合には、実務経験3年とともに、介護福祉士実務者研修の取得が介護福祉士国家試験の受験要件に定められており、働きながら介護福祉士を目指す人にとっても重要な資格といえます。
本記事では、介護福祉士実務者研修について、取得するメリットや給料、受講条件などをまとめました。これから資格取得を考えている方は是非参考にしてください。
介護福祉士実務者研修とは?
介護福祉士実務者研修は、介護職としての幅広い知識と、より実践的な技術を習得できる資格(研修)です。介護職員初任者研修の上位資格として位置付けられ、介護福祉士実務者研修を取得すると、介護職として、より質の高い介護ケアを提供できるようになります。
また、訪問介護事業所に設置が義務付けられているサービス提供責任者として働くことが可能になります。
介護福祉士実務者研修は年齢や介護の実務経験、資格の有無などの受講条件はなく、誰でも取得することができる資格です。介護職員初任者研修の上位資格として位置付けられていますが、介護職員初任者研修を取得していなくても、目指すことができます。
無資格から介護福祉士実務者研修の取得を目指す場合、11科目、450時間の受講が必須です。ただし、介護職員初任者研修を修了している人は、内容が重なる科目の130時間分が免除されます。介護職員初任者研修を持っている人が介護福祉士実務者研修を目指すにあたっては、大きなメリットといえるでしょう。
また、介護福祉士実務者研修は介護職としてキャリアアップを考える人にとって、重要な資格といえます。介護福祉士国家試験の受験を実務経験ルートで目指す場合、実務経験3年以上と介護福祉士実務者研修の取得の二つの要件が必要です。介護福祉士実務者研修を取得することで、介護福祉士国家試験の受験要件の一つを獲得することができます。
なお、介護福祉士実務者研修は、2013年に廃止されたホームヘルパー1級に相当する資格ですが、ホームヘルパー1級を取得していても介護福祉士の受験資格にはなりません。ホームヘルパー1級を持つ人が介護福祉士を目指す場合には、受講していない科目を受講し、介護福祉士実務者研修を取得することが必要です。
介護福祉士実務者研修を取得するとできるようになる仕事内容は?
介護福祉士実務者研修を取得することにより、介護のプロとしてより幅広い業務を担うことができます。ここでは代表的なメリットについてご説明します。
サービス提供責任者
サービス提供責任者は訪問介護の要と言われる存在で、訪問介護事業所に配置が義務付けられています。事業所内のマネジメントを始め、訪問介護計画書を作成、ケアマネージャーと連携するなど、利用者に質の高い介護サービスを提供するため、重要な役割を果たす仕事です。
サービス提供責任者として働くためには、厚生労働省が定めた資格のいずれかを持っている必要があり、介護福祉士実務者研修はその資格要件の1つとなっています。
介護施設での身体介護
身体介護は、介護を必要とする人の身体に直接触れて行う介助サービスです。身体介護は介護職員初任者研修以上の資格を持つ人が行うことができる業務です。
介護福祉士実務者研修の取得者は介護の専門家としての知識や実技を持つとみなされるため、介護度の高い要介護者の多い施設や現場のリーダーとしての働きを期待されることもあります。
訪問介護
訪問介護で働くには、介護職員初任者研修以上の資格を保持していることが必要条件です。また、先述の通り、ホームヘルパーとしてだけでなく、訪問介護事業所のサービス提供責任者としての活躍も期待できます。介護福祉士実務者研修を取得するメリットは?
介護福祉士の資格取得につながる
「実務経験ルート」で介護福祉士取得を目指す場合、実務経験3年以上、かつ、介護福祉士実務者研修の取得が国家試験の受験要件として定められています。働きながら介護福祉士を目指す人にとって、介護福祉士実務者研修の取得は必須条件と言えるでしょう。
医療的ケアを学ぶことができる
介護福祉士実務者研修では、「喀痰吸引」と「経管栄養」といった医療的ケアについて学ぶことができます。医療的ケアの知識も兼ね備えた介護職として、活躍の場を広げることができるでしょう。
しかし、介護福祉士実務者研修を修了しただけでは、喀痰吸引等の医療行為を行うことはできません。資格取得後に「喀痰吸引等研修」を受講し、実地研修を受けることが必要です。「喀痰吸引」と「経管栄養」は、要介護度の高い利用者が多い介護施設などではニーズの高いケアですので、前向きに受講を検討してみましょう。
サービス提供責任者として働くことができる
介護福祉士実務者研修を取得すると、訪問介護サービス事業所で設置が義務付けられているサービス提供責任者として活躍することが可能となります。事業所によっては資格手当が支給され、給与アップも期待できるでしょう。
スキルアップを実感できる
介護福祉士実務者研修を取得すると、介護職員初任者研修よりも専門的な知識や実践的な実技を習得することができます。
「介護のスキルが深まったことで、現場で介護ケアを提供するうえでの自信に繋がっている」「利用者の状態をより深く理解し、より良い介護ケアを提供したいと考えるようになった」と、介護福祉士実務者研修を取得することで、介護職としてのスキルアップを実感する人は多いようです。
仕事の幅が広がり、転職に有利に働く
介護福祉士実務者研修を取得すると、資格を持たない人や介護職員初任者研修の取得者よりも転職に有利に働く可能性があります。
介護度の高い利用者の多い特別養護老人ホームや、訪問介護などでは、より専門的な介護スキルを持つ介護スタッフを必要としている傾向があります。そのため、介護福祉士実務者研修の取得者や、医療的なケアができる人は、幅広い介護施設から歓迎されるといっていいでしょう。
収入アップが期待できる
勤務する事業所により異なりますが、介護福祉士実務者研修を取得すると、資格手当が支給され、資格を持たない人よりも給与がアップする傾向があります。詳しい給料については次項で解説いたします。
介護福祉士実務者研修の給料は?
事業所により異なりますが、厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士実務者研修と他の資格別の平均給与は以下のようになっています。
保有資格 | 月額(常勤) |
---|---|
介護福祉士 | 331,080円 |
介護福祉士実務者研修 | 302,430 円 |
介護職員初任者研修 | 300,240円 |
無資格 | 268,680円 |
介護福祉士実務者研修の平均月給は常勤で302,430 円です。上記の表によると、介護福祉士実務者研修の平均月給は、無資格の場合よりおよそ33,000円上回っています。
資格の有無で給与が大きく左右される業界ですので、給与をアップさせたい人は、ぜひ資格取得を目指しましょう。
介護福祉士実務者研修の取得方法は?
介護福祉士実務者研修には受講要件はなく、学歴や実務経験に関わらず、誰でも取得が可能です。介護福祉士実務者研修の講義は450時間で、全国の実務者研修に対応した養成校で、通信講座とスクーリングを組み合わせて受講します。
介護福祉士実務者研修に修了試験はありません。450時間の講義を全て受講していることが資格取得の条件です。ただし、養成校によっては、研修の内容を理解していることを確認するために、修了試験を行うこともあります。養成校によって対応が異なりますので、確認してみましょう。
なお、介護職員初任者研修を修了している人は、130時間分の講義が免除されます。また、ホームヘルパー1・2・3級と、介護職員基礎研修の修了者も受講科目の一部が免除になりますので、養成校などに問い合わせてみましょう。
介護福祉士実務者研修の内容は?
介護福祉士実務者研修のカリキュラムは450時間です。講義の内容は介護実務の経験がある人にとっては難しいものではありません。受講の要件はなく、誰でも受講が可能ですが、実務経験があった方がよりスムーズに理解できるといえるでしょう。
そのため、無資格から介護福祉士実務者研修取得を目指す人は、介護職員初任者研修を最初に目指すことも検討してみましょう。介護職員初任者研修を取得している人は介護福祉士実務者研修の講義のうち、130時間分の免除が受けられます。
介護福祉士実務者研修の内容について、以下に詳しく解説します。
介護福祉士実務者研修カリキュラム
科目 | 受講時間 | 介護職員初任者研修取得者が 免除される科目 |
---|---|---|
人間の尊厳と自立 | 5時間 | 免除 |
社会の理解Ⅰ | 5時間 | 免除 |
社会の理解Ⅱ | 30時間 | |
介護の基本Ⅰ | 10時間 | 免除 |
介護の基本Ⅱ | 20時間 | |
コミュニケーション技術 | 20時間 | |
生活支援技術Ⅰ | 20時間 | 免除 |
生活支援技術Ⅱ | 30時間 | 免除 |
介護過程Ⅰ | 20時間 | 免除 |
介護過程Ⅱ | 25時間 | |
介護過程Ⅲ(スクーリング) | 45時間 | |
発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 | |
発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 | |
認知症の理解Ⅰ | 10時間 | 免除 |
認知症の理解Ⅱ | 20時間 | |
障害の理解Ⅰ | 10時間 | 免除 |
障害の理解Ⅱ | 20時間 | |
こころとからだのしくみⅠ | 20時間 | 免除 |
こころとからだのしくみⅡ | 60時間 | |
医療的ケア※ | 50時間 | |
合計 | 450時間 | 免除時間 130時間 |
※医療的ケアについては、介護福祉士実務者研修取得後に、所定の実地研修を受講する必要があります。
介護福祉士実務者研修に関するよくある質問
介護福祉士実務者研修について気になるこんなこと。よくある質問に対し、介護福祉士実務者研修を取得し、介護現場で働く人が回答します。
Q.介護福祉士実務者研修を取得するための勉強はどのように進めましたか?
・週に1回、養成校に通いました。また、自宅でも勉強の時間を設けて復習をしました。
・通信講座で学習しました。実技は自分でシミレーションしながら勉強しました。取得までの期間は4か月ほどです。
・図書館に通ったり、職場の先輩に実際の介護現場の様子を聞きながら勉強しました。
Q.介護福祉士実務者研修を取得してから、仕事にどんな変化がありましたか?
・収入がアップしました。
・仕事内容も環境も大きく変わり、以前よりも人に深く関わる責任のある仕事になったのでやりがいも大きく感じています。
・上席や同僚、後輩から、認めてもらえるようになりました。また、より責任感を持って仕事に取り組もうと向上心を持てるようになりました。
・責任ある仕事をさせてもらえるようになりました。
Q.介護福祉士実務者研修と介護職員初任者研修の違いはなんですか?
・介護職員初任者研修は介護職としての基礎的な知識や実技を習得する研修で、介護職の入門的な資格です。それに対して、介護福祉士実務者研修は、初任者研修の内容を前提に、介護の知識や実技をさらに深く習得する資格です。
・介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の内容を前提に、介護の知識や実技をさらに深く習得する資格です。介護福祉士実務者研修は介護職員初任者研修に比べ、受講科目が多く受講期間も長いのが特徴です。
まとめ
介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格として位置付けられ、取得することによって介護のプロとしての幅広い知識と、より実践的な技術を持つことが客観的に証明されます。
介護福祉士実務者研修を取得することで、事業所によっては資格手当が支給され、給与アップが期待できます。また、訪問介護事業所では、サービス提供責任者として働くことができるようになります。
無資格から介護福祉士実務者研修の取得を目指す場合、11科目、450時間の受講が必要ですが、介護職員初任者研修を修了している人は、内容が重なる科目の130時間分が免除されます。これは介護職員初任者研修を取得している人にとって、大きなメリットとなっています。
実務経験コースで介護福祉士国家試験の受験をするには、実務経験3年に加え、介護福祉士実務者研修の取得が受験の要件として定められています。働きながら介護福祉士の取得を目指している人にとっては、介護福祉士実務者研修は必須の資格といっていいでしょう。
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