介護技術を高めるには何をすればいい?知識と経験にプラスすべきもの

介護の仕事

車椅子を押しながら振り向く女性介護職員介護の初級資格は取得したし、介護の仕事にも慣れてきた・・だけどその先のもう一歩が、なかなか上達しないという悩みはありませんか?

着実に介護技術を高めていくには、遠くてよく見えないゴールを目指すより、小さいゴールを設定して都度クリアしていくスタイルがおすすめです。また小さなことでも少し注意して変えるだけで、意外と介護技術全般がグンと底上げされることも。

今回はそんな気付きに役立つトピックをご紹介しますので、効率良く介護技術を高めていきたい方や、質の高いケアで利用者様に喜んでもらいたいという方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

介護職員が高めていきたい介護技術

ベットから起き上がる高齢者を介助する介護職員一度に取り組むには幅が広すぎる介護技術。まずは細かく分解し、ひとつずつ高め方のポイントを見ていきましょう。

1.身体介護の技術

身体介護とは、体位変換・移乗介助・移動介助・着替えの介助・食事介助・清拭介助・排泄介助・口腔ケアなど、利用者様の体に直接触れて行うケアです。
これらに習熟することで、安全かつ利用者様に痛みや不快感を与えず行えるようになること、また自分の体に負担をかけないやり方を身につけることを目指します。

高め方のポイント1《初心者同士で練習》

介助の流れを頭に入れたら、まずは初心者のスタッフ同士で利用者様役と介助役のペアを組み、何度も練習を繰り返して体に覚えさせましょう。一度やったら利用者様役は、どう感じたかを相手にフィードバック。

利用者様役をやると、介助される側の気持ちが分かるというメリットがあります。また恐怖や痛みがあった場合はそれを相手に教えることで、介護技術の向上につなげられます。いちいち考えなくても自然に次の動作が出てくるようになるまで、役割を入れ替えて繰り返しましょう。

高め方のポイント2《触れ方を意識してレベルアップ》

利用者様の体に触れるとき、指を使うときは「指先」ではなく「指の腹」で、できれば指ではなく「手のひら全体」でなど、広い面積で触れるようにします。

「指の先だけで触れる」「予告なく急に触れる」「上から腕を掴む」「相手の手首を持つ」といった触れ方は、相手に不安や恐怖、痛みを与えることがあるため避けましょう。

スキンシップは身体介護の技術の土台。ここが上手になれば、あらゆる場面でレベルアップを感じることができるはずです。急いでいるときも忘れず意識していきましょう。

2.コミュニケーションスキル

相手に合わせた伝え方のスキルや傾聴スキルを使って、利用者様やご家族と信頼関係を築くことができ、円滑なコミュニケーションがとれることが目標です。またスタッフ間の報告や連絡がスムーズにでき、必要なときにいつでも協力し合えることも大切です。

高め方のポイント1《笑顔に磨きをかけよう》

利用者様とコミュニケーションをとるとき、気負いや緊張のあまり、つい笑顔が消えていたり、目線がきつくなっていませんか?真顔で探るように見つめられると、相手は警戒心を抱きます。

がんばりたいという気持ちはそのままにして、少し肩の力を抜いてみましょう。一番のポイントは「笑顔」。マスクで口元が隠れることも計算に入れて、目でしっかりと微笑んで。笑顔で相手に安心してもらえれば、余計な力が抜けてケアがスムーズにできることも多いのです。

高め方のポイント2《相手の立場に立って伝えよう》

聞かれたことだけに答えるコミュニケーションから、相手の聞きたいことを予測しながら具体的に伝えられるようになると、一段レベルアップすることができます。

たとえばご家族から「うちの母は食べられていますか?」と聞かれて「よく残されています」とだけ答えたら、相手は不安になってしまいます。

「朝食は残されることが多いですが、昼食や夕食は2/3ほどは召し上がっておられます。○○がお好きなようで、そのメニューの日は完食されます」などと具体的に伝えることで、きちんとケアを受けて生活できていることが伝わり、安心してもらえます。

スタッフ間の連絡の場合も同様に、「何が問題なのか」「どうしてほしいのか」など、相手が知りたいことを予測しながら、明確に伝えるように意識するといいですよ。

3.認知症ケアの技術

認知症の利用者様が生活するうえでの注意点や、安心して過ごしてもらえる接し方、環境の整え方、問題が起きたときの対処法、薬についての知識など認知症に関する幅広い知識を持ち、実践経験を積み重ねていること。また状況に合わせた臨機応変な対応ができることを目指します。

高め方のポイント《資格試験、セミナーや研修を活用》

認知症ケアのメソッドは日進月歩。自施設で経験を積むだけでも技術を高めていくことはできますが、幅広く知識を取り込み向上させていきたい場合は、資格試験や研修などを活用するのがおすすめです。

「認知症介護実践者研修」や「認知症介護実践リーダー研修」は、介護の経験をある程度積んだ中堅介護職向けの公的資格となっています。

また「認知症ケア専門士」は民間資格ですが、5年ごとの更新制となっており、更新には学術集会やセミナー等への参加が必要となるため、取得した後も知識を最新のものにアップデートできます。

こうした研修やセミナーに参加すると、同じ志を持った仲間と交流を持つこともできるため、自分のケアを客観的な視点で見直せたり、励まし合えたりすることでモチベーションアップにもつなげられます。

こちらのコラムも参考に≫「認知症の介護スキルをレベルアップ!現場で役立つ資格・研修11選

4.セルフケアの技術

自分の心身のコンディションに気を配り、良い状態に整えることができること。また自分のストレスや感情をコントロールする方法を知っており、それを実践できることが目標です。

高め方のポイント《周囲に相談・対処法を増やす》

介護職にとってストレスマネジメントは必須のスキルです。「眠れない」「食欲がない」といったストレス過多の兆候を感じたら、一人で我慢するのではなく上司や同僚など周囲にすぐ相談を。

周囲からのアドバイスを取り入れたり、ストレス源となっている業務を見直すなどの対策と並行して、自分なりに不調からの回復方法を試し、効果があったものを増やしていくことも役立ちます。

たとえば腰の不調にはストレッチをする、腰痛ベルトを着ける、ケア方法を見直す、靴を新調する、休みをもらう、整体に通う等々。ひとつの選択肢に頼らず多くの対応法を持っておくことが、セルフケアの技術を高めていくことにつながります。

なかなか身につかない原因は?

目標と書かれた木製キューブの下に手を添えるせっかくよい研修をたくさん受けているのに、なかなか介護技術が上達しない・・・その原因のひとつは、「目的が明確に定まっていないから」かもしれません。

「目の前の仕事をこなすのに精いっぱいで、目標まで考えるような余裕がない」という声もあるでしょう。しかし「どんな介護職になりたいか」がぼんやりとしたままでは、せっかくの頑張りがなかなか成果・成長に結びつかない可能性が。

目標をハッキリと決めると、何をしなくてはならないかが見えてくるので、具体的に行動しやすくなります。「この研修で○○ができるようになろう」「この業務で○○に慣れよう」など、目の前のことに目的を持って取り組めるようになり、成長効率がグッと上昇するはずです。

スキルアップにつながる目標の立て方

バインダーと筆記用具を持ち、思案する介護職員目標は、自分が本当に熱意を持って取り組めるものでなくてはなりません。少し時間はかかっても、自分の苦手なこと、得意なこと、喜びや価値を感じることをリストアップすることから始めてみましょう。

苦手なことから目標を立てれば、苦手をつぶすことで成長を目指すアプローチに。たとえばコミュニケーションが苦手だと感じているのなら、「休憩時に周囲と雑談する」といった、今の自分で手が届く範囲で、具体的な目標を立てましょう。

得意を伸ばして成長を目指すなら、仕事で褒められたことやうれしかったことから目標を立てるのもよいですね。仲間と協力し合うことにやりがいを感じる人は、リーダー職を目指してみるのもいいかもしれません。

手の届きやすい目標としては「毎日ひとつスタッフに感謝する」「現リーダーに相談する」「リーダー向け研修を受ける」などが考えられそうです。

知識と経験、プラス目標

外を見つめる介護職員ほとんどの介護技術は、介護経験を積むことで上達していきます。しかし教えてもらっていないこと、知らないことは、いくらやってもできるようになりません。知識と経験の2つが、車の両輪のようにバランス良く揃うことが必要です。

そうした理由から、研修プログラムが充実している職場や、周囲に分からないことを聞きやすい雰囲気の職場は、成長しやすい職場と言えるでしょう。

さらに、目の前に「私もあんなふうになりたい」と心から思える先輩がいれば、具体的な目標をいつも見ていられるので成長も早まります。今のままの自分では物足りない人、もっと技術を高めたい人は、そんな条件の揃った職場に転職することもひとつの選択肢。

小さな苗木が水や日の光を浴びてすくすくと育っていくように、豊富な知識と経験がたっぷり得られる環境なら、人もまたすくすくと育つことができます。ぜひ自分自身の成長を楽しみながら、前に進んでいってくださいね。

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