介護レポート(記録)の基本の書き方。例文、NG表現も紹介

介護の仕事

レポートに記録する介護職員介護レポート(記録)は利用者の日々の健康状態や生活状況を適切に把握し、必要なケアやサポートを提供するために欠かせない重要なものです。毎回の記入はわずらわしく感じることもあるかもしれませんが、適切に記録できていないと、介護の質や安全性の低下、関係者間の連携不足を招く恐れがあります。
今回は介護レポートの役割や書き方、具体的な例文などをご紹介します。

介護レポートの役割

高齢女性と会話をしながらレポートに記録する介護職員介護レポートには大きく4つの役割があります。

① 利用者の状態の把握

介護レポートには利用者の身体的、精神的な状態を含め、さまざまな項目について記録します。体温や血圧、排せつ、食事、ケアの内容、医療機関や家族との連絡内容などを詳細に記録することで、利用者のいまの状態を正しく把握し、最適なケアやサポートの提供につなげることができます。

② ケアプランや支援計画の作成

利用者の現状が詳細に記録された介護レポートは、ケアプランや支援計画を作成する上で重要な参考資料となります。また、介護レポートの情報を分析することで、ケアプランや支援計画の目標が達成されているかどうかを評価でき、必要があれば内容の調整をおこないます。

③ 関係者間の情報共有

介護レポートは介護職員や医師、看護師、リハビリテーションスタッフ、社会福祉士、利用者の家族など、利用者のケアやサポートに関わる人たちの間で情報共有のために使われます。介護レポートが正確に記入されていれば関係者に正しく情報が伝わり、連携して適切に対応することができます。

④ サービス提供の証明

介護サービス提供に関する記録の作成と保存は法律により義務付けられており、万が一トラブルが発生した場合には介護レポートがケアやサポートを提供した証明となります。訴訟などで介護レポートの開示が必要となった際、記録が不十分であればサービス提供の証明が難しくなり、施設や関係者は不利な状況に陥ります。そのため、介護レポートは不足がないよう正確な記入を心がけましょう。

介護レポートに含める項目

介護レポートには定められた様式がないため、使用されているフォーマットやテンプレートは施設によってさまざまです。一般的な介護レポートには、以下のような項目が記録されています。

  • 利用者と担当者の氏名とサイン
  • 日時
  • 場所
  • 健康状態(体温、血圧、顔色など)
  • 提供した介護サービスの具体的な内容
  • 特記・連絡事項(変化や異常など)

介護レポートの基本の書き方

ノートの横に5W1Hのワードがそれぞれ書かれたメモ介護レポートは簡潔にわかりやすく書くことで、関係者に正しく情報を伝えることができます。以下の2つを意識して記入しましょう。

客観的な事実を記録する

介護レポートには記入者自身の主観的な意見や憶測、誤解を与える表現の記入は避け、客観的な事実を具体的に記入しましょう。例えばイスやベッドから落ちたように推測できる状況でもその瞬間を目撃していないのであれば「ベッドの横に座り込んでいた」と見たままの状況を記入します。また、時間や体温、トイレの回数などの数字や気になった利用者の様子など、こまめにメモを取る習慣をつけておくと効率的に介護レポートを作成できます。

【食事の記録に含めるとよい内容】

食事の摂取量、摂取方法(自分で食べたか、介助したか、使用した道具など)、食事中の様子、食べ物の好み、食後の反応など。

【排せつの記録に含めるとよい内容】

排せつの頻度、状態(便の色や形状など)、量、排せつ時の様子、排せつ方法(自立しているか、介助したか、使用した道具など)。

5W1H形式で記録する

5W1Hを意識して記録することで必要な情報が含まれた具体的な介護レポートになり、利用者の状態を簡潔明瞭に記録することができます。書き方に迷ったときは5W1Hに当てはめながら書くとよいでしょう。

  • Who(誰):利用者や担当者の氏名を明確にする
  • What(何):実施したケアの具体的な内容。食事の摂取量や排せつの状況、薬の摂取状況などを記録する
  • When(いつ):時刻を24時間表記で記録する
  • Where(どこで):施設の食堂、利用者の自室のベッドなど、具体的な場所を記録する。
  • Why(なぜ):ケアの目的や行動の理由。可能な場合は言動の理由を利用者に確認する
  • How(どのように):どのようにケアを実施したのか、方法や使用器具などを記録する

介護レポートの良い例、悪い例

レポートの確認する介護職員たち続いて、介護レポートの良い例、悪い例を比較してみましょう。

【良い例】

「3/20 食堂で昼食。食事時間12:00~12:30。食事開始直後はスムーズに召し上がっていたが、途中で箸が止まっていたので声をかけると「野菜炒めが固くて食べづらい。もう食べられない。」と話したので下膳。その他は完食した(ごはん1杯、みそ汁、野菜炒め1/2、ヨーグルト、水分200cc)」

【悪い例】

「3/20昼食。おかずを少し残した以外はしっかり完食した」

良い例では情報が客観的かつ具体的であるのに対し、悪い例では抽象的、主観的な記録であり介護レポートとして不適切です。悪い例のような記録からは利用者の状態を明確に読み取ることは難しく、関係者間の情報共有が不十分なものになってしまいます。読み手がその場面を具体的にイメージできるくらいの情報を盛り込みましょう。

介護レポートに不適切な表現

マルバツのふだと間にまる・ばつを書かれた木製キューブ性別や宗教、人種、性的指向などに関わる差別的な表現は人権侵害にあたり、利用者やそのご家族との信頼関係を損なう恐れが高いため、絶対に使用してはいけません。また、否定的表現や命令のような指示的表現も避け、肯定的な表現を使うとよいでしょう。

【×】不適切な表現の例

差別的表現:○○人、LGBTQ+(性的少数者)、障害者、病人、女性(男性)なのに

否定的表現:不機嫌、非協力的、抵抗する、手間がかかる、~できない、

【◎】肯定的に言い換えられる表現

執拗に→何度も

勝手にした→自発的に(ご自身で)○○した

拒否した→不安がみられた、意思表示があった

○○させた→○○してはどうですかとお声がけした、おすすめした

介護レポートの重要性を念頭において記録しよう

レポートに記録する介護職員介護レポートは利用者の健康や生活を支える大切な記録であるとともに、トラブル時は介護関係者の働きを証明するものでもあります。日々の介護レポートの作成を面倒に感じることもあるかもしれませんが、これらの重要性を念頭においておくと気を引き締めて作成にあたることができるでしょう。「客観性と具体性」「5W1H」を意識し、こまめにメモをとるなどして効率的に進めましょう。

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