介護施設で行われる高齢者レクリエーションのなかでも、常に安定した人気を誇る「脳トレ」。普段使わない脳を刺激することで、認知症予防に役立つところが人気の理由です。スタッフ側としては、準備する物が少なくて済むところもうれしいポイントですね。
今回は脳トレ・レクリエーションを4つのカテゴリーに分け、合計10選のアイデアをご紹介していきます。解けそうで解けない、できそうでできない・・・そんなジレンマからの「解けた!」「できた!」は、脳のトレーニングになるだけでなく、介護現場にイキイキとした笑顔が増える効果も。毎日のレクに、ぜひ取り入れてみてくださいね。
脳トレレク1:ホワイトボードで漢字・計算クイズ4選
漢字や数字は高齢者の方々にもなじみが深く、取り組みやすい脳トレです。ホワイトボードや筆記用具があればできるので、準備物が少なくて済むのもうれしいですね。
●チームで漢字探し
(1)参加者にチームに分かれてもらい、「口」という字に二画足してできる漢字を探してもらいます。「石」「占」「号」など、いろいろありますね。たくさん見つけたチームの勝ち!
(2)四文字熟語のうち、漢字二つを隠し、それを当ててもらいます。「危□―□」(答え:危機一髪)や「一□二□」(答え:一石二鳥)など。たくさん当てたチームの勝ち!
(3)いとへんの漢字、さかなへんの漢字など、へんを指定して、チームで漢字を探してもらいましょう。たくさん見つけたチームの勝ちです!
●きそく発見!
ある規則通りに数字を並べ、途中の数字を「?」にして隠します。規則性を発見して、数字を当ててもらうゲームです。
たとえば「2」「4」「6」「?」「10」「12」なら、2ずつ増えているのでカンタン、答えは8ですね。では「1」「1」「2」「3」「5」「8」「?」「21」ならどうでしょう?1+1=2、1+2=3、というように、直前の2つの数字を足した数が並んでいきます。なので「?」に入る答えは13。そのほかにも、3ずつ増える、7ずつ減るなど、いろいろなパターンで問題を作り、挑戦してもらいましょう。
脳トレレク2:クイズ・なぞなぞ
クイズやなぞなぞの答えを「うーん」と考えている間、脳は活発に活動しています。そして、「あ!そうか!」とひらめいた瞬間、脳の神経細胞が一斉に活性化するといわれます。
クイズが解けず答えを教えてもらったとしても、「ああ、そういうことか!」という体験ができれば、脳はしっかり活性化しています。レクリエーションを始める前に、「解けなくても脳トレになる」ということをお伝えしておくと、安心して楽しんでいただけますね。
オススメ書籍:必ずウケる大人のなぞなぞ(宝島社文庫)
オススメ書籍:60歳からの脳トレ もの忘れ、認知症にならない昭和思い出しテスト(コスモトゥーワン)
脳トレレク3:手遊び・指体操3選
頭で分かっていても、手や指が思うように動かない・・・イライラしつつもついムキになってがんばってしまうのが、手指を使った脳トレ・レクリエーションです。
カナダの脳外科医・ペンフィールドが作った脳地図によると、大脳の面積のうちで非常に大きい割合を占めるのが、手の動きをコントロールする部分。脳トレに手の動きを組み合わせると、脳の広範囲を効率よく刺激することができます。少し難しいものもありますが、ゲーム形式で楽しみながら取り入れていきましょう。
●おちゃらかホイ
二人一組で行う、昔ながらのじゃんけんゲーム。「おちゃらかおちゃらかおちゃらかホイ♪」と歌いながら「ホイ」のところでじゃんけんをします。勝った方は「おちゃらか勝ったよ(万歳をする)」、負けた方は「おちゃらか負けたよ(泣くまねをする)」、あいこのときは「おちゃらかあいこだ(両手を腰に当てる)」と歌いながらポーズをとります。ポーズを間違えた方が負け。はじめはゆっくり、少しずつテンポを上げていくと盛り上がります。
●輪ゴム移しレース
親指に輪ゴムを1個かけてスタート。親指から人差し指へ、人差し指から中指へと、指の動きだけでどんどん輪ゴムを移していきます。小指までいったら引き返し、また親指に戻ってきたらゴール。途中で輪ゴムを落としてしまったら、もう一度親指から。誰が一番早いか、レース形式にすると盛り上がります!
●親指と小指のダンス
両手をかるく握って、右手は小指を立て、左手は親指を立てた状態からスタート。「1」で小指と親指を引っ込めます。「2」で右手の親指と左手の小指を立てます。「3」でまた小指と親指を引っ込めます。「4」で最初の状態(右手は小指を立て、左手は親指を立てた状態)に戻ります。これの繰り返しです。「もしもしかめよ♪」など、好きな歌に合わせて、リズミカルにやってみましょう。思った以上に難しいですよ!
脳トレレク4:ボードゲーム2選
●ピクテル
使うのは、透明なカードに記号的なピクトグラムが描かれているカード。これを組み合わせてお題にあう絵を完成させ、回答者に答えてもらうゲームです。カードを使った連想ゲームのようなイメージです。カードを使うので絵が苦手な人でもだいじょうぶ。脳の普段使わない部分を使って、みんなでワイワイと楽しめます。
●ブロックス
4色のブロックを使って陣地を取り合うボードゲーム。シンプルですが戦略も要求され、どこか囲碁っぽさも感じます。2人~4人で遊べますが、4人でやるのが一番盛り上がります。もちろん、「他のメンバーの戦略を妨害して自分が勝つ」という楽しみ方もありますが、「みんなで協力してすべてのピースを置ききる」という遊び方も、和気あいあいと楽しめるのでおすすめです。
脳トレ・レクリエーションは男性人気も高め!
老人ホームなどでよく行われる装飾づくりや童謡といったレクには、幼稚なイメージがあるためか、とくに男性利用者様には敬遠される方がいらっしゃいます。そんな方にも興味を持っていただきやすいのが、雑学や漢字、数字などを使う知的なゲーム。
現役時代の仕事で数字や文章を扱っていた方なら、計算に強かったり漢字をよく知っていたりすることも多いものです。自分の得意分野を生かせると、普段消極的な方も、がぜんやる気になっていただけることも。また、ゲームのなかで周囲に褒められたり尊敬を集めたりすると、次のレクへの意欲につながるといった効果も期待できます。
脳トレは、ふだん物静かな方など、意外な人にスポットが当たりやすいレクリエーション。体の状態を問わずに参加していただけるのもメリットです。さまざまな個性を持った方がレクを楽しめるよう、バランスよく織り交ぜていってくださいね。
参考文献:「100歳までボケない手指体操」 監修:白澤卓二