介護職の残業は多い?少ない?サービス残業を避けるためのポイントも

介護の仕事

時計とタイムカード

介護職の残業について、どんなイメージを持っているでしょうか。「仕事が終わってもすぐに帰れなさそう」「サービス残業もあるのでは」等々、不安を持っている人もいるかもしれません。そこで今回は、過去の調査などから介護職の残業について実像を明らかにしていきます。

さらに残業の少ない事業所の見分け方や、サービス残業を避けるために気を付けたいことなどについてもご紹介していきましょう。

「残業できる方がいい」という人や「残業は絶対したくない」という人など、残業についての考え方は人ぞれぞれ。でもオフはしっかり切り替えてリフレッシュすることは、仕事も人生も充実させるために必要です。ぜひこの機会に自分の残業観についても考えながら、チェックしてみてくださいね。

介護職はどのくらい残業している?

悩んでいる女性介護士

令和4年度の「介護労働実態調査」※1によると、介護職員の1週間の残業時間は下記のようになっていました。

無期雇用職員
残業なし:55.0%、5時間未満:24.7%、5時間以上10時間未満:11.8%

有期雇用職員:
残業なし:63.9%、5時間未満:20.7%、5時間以上10時間未満:7.8%

これを見ると、残業はしていないという人が半分以上。また2割程度の人が1日1時間未満程度の時間外労働をしているようです。全産業での平均時間外労働時間は、月10.1時間※2となっているため、とくに介護業界が突出して残業が多いというわけではなさそうです。

ただしこの調査では、週20時間以上の残業をしている人が正職員で0.5%、有期雇用職員では0.2%いることも明らかに。ごく一部ではありますが、長時間の時間外労働が行われている事業所があることも分かりました。

※1:「令和4年度介護労働実態調査」(公益財団法人 介護労働安定センター)
※2:「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報」(厚生労働省ホームページ)

介護職のなかで残業が多い職種は?

肩に手をおき考える女性介護士

前述の調査では「サービス提供責任者」が、残業がもっとも多い職種でした。無期雇用職員で残業なしと答えた人が48.1%と、4職種中で最少に。5時間未満も24.2%、5時間以上10時間未満も15.8%と多めになっており、半分以上の人が週に数時間以上の残業をしています。

逆にもっとも残業が少ない職種もみてみると、「訪問介護員(ホームヘルパー)」が残業なしの比率が最も高くなっており、7割ほどの訪問介護員が残業なしと回答しています。

サービス提供責任者は、自分もヘルパーとして訪問介護業務につきながら、書類作成業務やほかのヘルパーの支援、指導なども行うため、業務量が多く残業が多くなっていると考えられます。

逆に訪問介護員は、決められた時間内で利用者様の自宅でサービスを提供するスタイルなので、残業が発生しにくいと考えられます。

介護職員やケアマネジャーは、この2職種の中間程度の残業量でした。残業がないと回答する人も半分以上いるものの、週5時間未満の残業をしているという人も2割程度存在しています。下記ではそのなかでも介護施設で働く介護職員の残業について、さらに掘り下げていきましょう。

残業になるのはどんなとき?

更衣室で身支度を整える女性

まずは施設で働く介護職員の、平均的な一日の流れから確認してみましょう。

《職場へ移動》

ユニフォームへの着替え
夜勤スタッフから申し送り、介護記録のチェック
午前の業務(健康チェック、入浴介助、食事介助など)

《昼休憩》

午後の業務(おやつの準備、排泄介助、レクリエーション実施など)
夜勤スタッフへ申し送り
介護記録の作成
ユニフォームから着替える

《職場から移動》

タイムカードを押すときには、「仕事」を始めるための準備が整っている状態にしておくというのが社会人のマナー。ただ、どこからどこまでが仕事なのか、という点に関しては人によって認識が違うことがあります。

たとえば制服に着替えることも仕事のうちだという認識の人もいますし、介護記録のチェックまで済ませて準備万端整えておきたい、という人もいるかもしれません。

法的には、着替え時間に関しては「自分の都合で着替えている」「シャツを羽織るだけなど、着替えにかかる時間がわずか」「自宅から制服を着てきても良いことになっている」といった場合を除いて労働時間に該当します。また、前日の介護記録に目を通す、申し送りを聞くといった業務も、もちろん労働時間です。

ですので、就業開始時刻の30分以上も前に来て着替えや前日の片付け、申し送りなどまで済ませることが暗黙の了解になっており、その間の時間外手当がない介護事業所は違法な状態といえます。

万一この時間に事故や物品破損などを起こしてしまえば、責任の所在もあやふやでとてもリスキーな状態。もし現在こうした状況にあるなら、上司に相談して労働時間内に行うように仕事の流れを変更してもらいましょう。

一般的には、勤務開始時刻の10~5分前程度に制服に着替え現場に着いていれば問題はありません。その分時間内にしっかりと集中し、ミスやケガなく働くことが大事。終業時間についても同様に、申し送りや介護記録の記入は労働時間です。もし時間外に行うように指示されているなら是正が必要です。

また職員側も、仕事が終わらなければ次の時間帯のスタッフに引き継ぎ、長く残らない意識を持つことが大切。目の前のことだけを考えれば、自分がサービス残業をしてしまったほうが早いと思いがちですが、これを何度も行うと周囲のスタッフも帰りにくくなり悪い慣例につながります。

いつも時間内に終わらないなら、業務内容や手順の見直しが必要だということです。効率化すべきところを洗い出し、みんなが時間内に終れるように改善していきましょう。

サービス残業の多い施設の見抜き方

面接で質問する女性

まず確認したいのは、求人票の給与欄に「残業代別途支給」とあるか、「固定残業代含む」とあるか。「残業代別途」とある場合は、月給以外に残業した分の賃金(通常の1.25倍の割増賃金)が、その都度計算されて支払われます。

「固定残業代含む」となっている場合は、毎月一定の残業代がすでに月給に含まれています。つまり残業をした月もしていない月も、あらかじめ決めていた時間分の残業代がもらえることになり、職員にとっては残業をよくする人としない人との不公平感がなくなったり、施設側としては残業代計算の手間が省けるといったメリットがあります。

もちろん、固定残業代として想定されている時間以上の残業をしたら、追加で残業代を支払ってもらえます。しかし何時間分の残業がこの固定残業代として組み込まれているのかは施設によって異なるため、働く前にしっかり確認しておきましょう。また同時に、固定残業代がちゃんと割増賃金となっていることも確認しておきたいですね。

さらに面接時などに「みなさんはだいたい何時頃出勤されていますか?」と確認してみるのもおすすめ。「今の職員はみんな勤務開始の30分前には出勤しているから、あなたもお願いね」などと言われた場合は要注意です。

その間は何をしている時間なのかや、残業時間に含まれるのかなど、疑問点は必ず確認しておきましょう。どうしても気になることがあれば、採用になってからすぐ辞めるより、最初からお断りするほうが先方に迷惑がかかりません。

事前リサーチを怠りなく

携帯電話を見る女性

家庭の事情で残業ができないのに、働き始めてから残業が多いことが判明したら困ってしまいますよね。またサービス残業が当たり前になっているような職場では、なかなかモチベーションが保てなかったり、少しずつ不満も溜まっていってしまうもの。

介護業界だからといってそういう職場が多いというわけではありませんが、ほかの業界と同様に、なかにはそういった介護事業所も存在します。不幸なミスマッチを防ぐためにも、事前にしっかりリサーチしておくことが大切。 自分では荷が重いなと思う人は、介護の求人・転職エージェントを利用するのもおすすめです。ツクイスタッフが運営する「かいごGarden」では、地域の情報に詳しいアドバイザーが、ご登録無料で親身にお話をうかがっています。残業についても個々の事情やニーズに合わせたご提案が可能。情報収集だけでも大丈夫ですので、ぜひお気軽にご相談ください!

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