介護福祉士として10年以上働いている人はいくら手当がもらえるの?

LIFE

給与明細イメージ

介護分野の人手不足問題への対策として、国は以前から3種類の「処遇改善加算」を設けてきました。そのなかでも、勤続10年以上の介護福祉士などスキルを持った人への重点配分を想定したのが「特定処遇改善加算」。

特定処遇改善加算は、「勤続10年以上の介護福祉士に月額平均8万円の処遇改善」を目安として実施されましたが、実際のところはどうなっているのでしょうか。また、今後の見通しはどうなるのでしょうか。

長く介護福祉士としてがんばっている方からすると、実際にもらえる金額が気になるところ。現状と今後について詳しくお伝えしていきますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

特定処遇改善加算とは

PLUSと書いた木製ブロックと木製の人型コマと積み上げたコイン

2019年に創設された制度で、勤続年数10年以上の介護福祉士の給与について、月額平均8万円相当を処遇改善することを算定の根拠として、1000億円を投じて実施されました。

このニュースを聞いたとき、10年以上のキャリアがある介護福祉士の方は、「月額8万円も?!」と驚き期待された方も多かったかもしれません。

特定処遇改善加算は介護職員に重点配分とされているものの、実際には事業所の方針によって柔軟に配分できることになっているため、最終的に一人の手に渡る時には分散してしまい、期待したほど大きい金額になっていないというのが現実です。

また加算を受け取るための要件として、職場環境の改善や取り組みの見える化に取り組んでいることが必要だったり、届け出のための事務作業が煩雑で手間がかかるといったハードルも。

そのため、まだ特定処遇改善加算を取得できていない事業所もあります(令和5年度10月の時点で、特定処遇改善加算を取得している介護事業所は73.2%※1)。では実際に、いくらくらいの金額がもらえているのか、下記で具体的に見ていきましょう。

※1:介護職員の処遇改善に関する加算等の取得状況(厚生労働省HP)

実際にもらえている金額の平均は?

給与イメージ(紙幣)

令和4年度の調査によると、ベースアップ等支援加算と、特定処遇改善加算を取得している介護事業所における介護福祉士の平均給与額は、「336,000円(月給)」となりました。

これを勤続年数別に見てみると、下記のようになります。

勤続年数1~4年・・・312,960円
勤続年数5~9年・・・324,350円
勤続年数10年以上・・・358,870円

勤続年数10年以上の介護福祉士の平均月給は、介護福祉士全体の平均である336,000円と比較すると、22,870円高い358,870円という結果に※2。8万円には遠く及ばないものの、23,000円弱のプラスとなりました。

特定処遇改善加算を取得した介護事業所へのアンケートでは、加算を「経験・技能のある介護職員」の処遇改善に使った事業所が25.1%、「介護職員全体」に使った事業所が「35.5%」、「職員全体」に使った事業所が38.7%でした※3

4割近い事業所が、介護職員以外のスタッフも含め加算を全体的に配分しており、勤続年数10年以上の介護福祉士だけに集中して配分した事業所は少なかったことから、このような金額になっていると考えられます。

※2:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(厚生労働省HP)
※3:令和4年度介護労働実態調査(公益財団法人介護労働安定センターHP)

今後の見通しは?

財布を持って悩む男女

厚生労働省では令和6年6月より、介護職員の処遇改善加算について、制度を一本化して取得しやすくし、さらに加算率も引き上げることを決めています。

従来は「処遇改善加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」、「特定処遇改善加算Ⅰ、Ⅱ」、さらに「ベースアップ等支援加算」と細かく種類が分かれていたのに対し、今後は要件を統合して加算率もアップした「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」「Ⅳ」の4種類にまとめられます。

具体的な金額としては、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップにつなげることを目指すとのこと。試しに先述した勤続年数10年以上の介護福祉士の平均月給358,870円をベースに考えると、2.5%アップでは367,842円となり、9,000円弱のプラスです。加算率のアップや制度が一本化される点は朗報で、さらなる処遇改善への期待が高まります。

ただし、今まで3種類の加算のうち「処遇改善加算」に関してだけは「介護職員のみに配分」という縛りがあったのですが、今後はそれもなくなりすべて柔軟な配分が可能となるため、今まで処遇改善加算の対象外だったケアマネジャーなどの職種では恩恵が目に見えやすい一方で、介護職員ではそれほどアップが実感できない可能性もあります。

参考:令和6年度介護報酬改定での見直しの概要・令和6年度の申請様式等(厚生労働省HP)

きちんと加算を取得している事業所で働こう

給与明細イメージ

介護の求人の詳細や、介護の給与明細をよく見ると、基本給や夜勤手当などのほかに「処遇改善加算:○○円」「介護職員特定処遇改善加算:○○円」「介護職員等ベースアップ等支援加算:○○円」などと表記してあることがあります。こうした表記がある介護施設は、きちんと処遇改善加算の要件を満たし、申請して加算を取得している事業所です。

給与明細を見てみて、加算を取得しているはずなのに記載がない、金額が少なすぎるなど、納得できない部分があれば上司に確認してみましょう。

その際の説明でも納得できない場合は、転職もひとつの選択肢。処遇改善加算は、その施設がどれだけ処遇改善への取り組みをしているかによって加算率が異なります。きちんと取り組みをして算定率の高い加算を取得している事業所では、もらえる手当の金額も大きくなります。

職場選びの際は、給与面の条件を詳しく確認することも大切です。求人のなかには処遇改善加算に関連する手当を基本給に含んで表示している場合があったり、「就業して○ヵ月後から支給」「該当者にのみ支給」といった条件がついていることもあるので、少しでも不明な点があればそのままにせずよく確認を。

よく分からない、詳しい情報が得られないという場合は、介護求人サービス「かいごGarden」へぜひご相談ください。登録や相談は無料で、地域に密着した豊富な情報を持つキャリア・コーディネーターが親身にサポートします。転職で明るい未来を掴むために、ぜひプロの力も利用してみてくださいね。

この記事をシェア

  • Twitter
  • facebook
  • LINE

かいごGarden noteとは?

かいごGarden noteは、介護の求人サービス「かいごGarden」が運営する介護の情報サイトです。
介護のお役立ち情報や、介護の仕事のお悩み情報などを掲載しています。