多くのスタッフが連携して仕事を進めていく介護現場では、ミーティングは欠かせない存在です。忙しいみんなの時間を割いて行うものですから、ぜひ効率的に進め、最大限活用していきたいですよね。
みんなが「やってよかった」と思えるミーティングでは、「何について話し合うか=議題」が重要です。全員が話し合うテーマの重要性を理解し共有しているからこそ、建設的な意見交換ができ、納得いく結論を出すことができます。
今回は、介護のミーティングの議題の見つけ方や、議題例をご紹介していきます。「ミーティングが形骸化している」「誰も意見を言わない」などという場合は、話し合うテーマを見直すべきかもしれません。みんなの意見をうまく吸い上げることができれば、きっと職場も明るく働きやすくなっていくはずです。
ネタ(議題)は現場にある
議題は担当者が一人で考えるような性質のものではありません。現場のスタッフが問題だと思うことや、気になっていること、改善したいことなど、現場から出てきた課題を話し合うことが大切です。現場以外のどこからか拝借してきたような議題では、自分ごととしてとらえられず、実のある話し合いにならないでしょう。
現場からネタを吸い上げるには、ミーティングの前に無記名でアンケートをとるのがおすすめ。集まった課題のなかから、全体に関係するものを議題としていきましょう。その際のコツは、「どんな些細なことでも書いてもらう」ということ。
スタッフは、「こんなこと議題にあげていいのかな?」と思うことがよくあります。些細な議題でも取り上げられているのを見ると、他のスタッフも「そういうのでもいいんだ」となり、職場も「なんでも言える環境」に。
会議で的外れな意見が出てきた際も、進行役が困った顔をしないことも大切なポイントです。「出てきた意見はすべて歓迎し、決して否定しない」ことで、誰もが意見を出しやすい雰囲気をつくっていくことができます。
介護のミーティングの議題例
業務上の課題について
「情報共有がうまくいっていない場面」や「施設内で危険を感じる場面」など、日々の業務でスタッフが気になっていること、課題だと感じていることについて話し合う。
リスクマネジメントについて
ヒヤリハット事例や苦情対応などが実際にあったとき、それについてミーティングで情報共有を行い、再発防止策を考える。
業務の効率化について
たとえば「ストックルームが乱雑で備品の在庫確認がしにくく、発注に時間がかかっている」「全員が介護ソフトを使いこなせていないため、一部のスタッフに負担が集中してしまっている」といった問題に対する対応策を考える。
職場のルール改善について
たとえば「休憩室の使い方」「シフトの提出方法」など、なんとなくやっていることや曖昧になっていることについて意見を出し合い、はっきりとしたルールにすることによって働きやすさを改善する。
利用者様のケア方針について
個々の利用者様の状態変化や要望などに応じて、どのようなケア方針をとるか話し合い、意見をすりあわせる。たとえば要介護度が上がった利用者様について、トイレ介助を続けるかオムツ対応にするかなど。
連絡事項を伝える
重要な連絡事項については、一方的に連絡ツールなどで回覧するだけではなく、ミーティングでも取り上げ質疑応答の時間を設けると周知徹底に役立つ。
会議で決めるべきこと
介護現場の問題は、いくつもの要因が絡まり合って起こっていることが多く、解決策も一筋縄ではいかないことが多々あります。まずは課題の周囲で起こっている関連事項について、連想ゲームの要領で気軽に出し合っていきましょう。
たとえば「ナースコールが多い」といった問題なら、「とくに多い日や時間帯」「どんな内容で呼ばれるか」「ナースコールが多いことでどんな弊害が起きているか」等々。ここをしっかり検討しておくと、具体的な解決策が出てきやすくなります。
そのうえで、「誰」が「いつ」、「何」をするかを決めていきましょう。これを決定することが、ミーティングの大切な目的です。「こういう用事で呼ばれることが多いから、あらかじめ○○しておくルールにしよう」と決まれば、担当は「全員」、行う時期は「今週中に周知徹底して、来週月曜日から」など。
せっかくミーティングをしても、「誰」「いつ」「何」の3つが決まらないと結局貴重な時間がムダになったという印象に終わりがちです。時間内に決まらなければダラダラ続けず、続きを話し合う日を決め、それまでに各自考えをまとめておいてもらうようにして解散しましょう。
漠然と集まらず、目的意識を
介護業務を円滑に行ううえで欠かせないミーティング。しかし多くのスタッフの手を止めて行うことになるので、通常業務へのダメージは大きくその分成果が求められます。
実のあるミーティングにするためには、漠然と集まるのはNG。事前に「何について話し合うのか」スタッフに周知し、ある程度考えてもらってから行いましょう。
はじめのうちは「グチや問題点ばかり出てきて解決策が出なかった」「結局何も決められなかった」ということも起こります。そんなときも、「これだけ課題が出てきた」ことが大きな成果。ムダにすることなく次のミーティングの議題とし、深く掘り下げて解決策を探していきましょう。
そのようにしていけば、「会議のネタがない」という事態は起こりえないはず。ミーティングでの成功体験を積み重ねれば、何かトラブルが起こったときも、みんなで乗り越えていけるという自信につながります。