ショートステイで働く介護職のお仕事内容とは?歓迎されるスキルや必要な資格、給料などを徹底解説
普段、自宅で介護を受けている人が何らかの事情で自宅介護が難しくなったとき、短期間利用する介護サービスがショートステイです。ショートステイは短期入所を目的とした施設のため、利用者の出入りが多いことが特徴です。頻繁に入れ替わる多くの利用者に臨機応変に対応しながら介護スキルを磨くことができる職場です。
本記事では、ショートステイの仕事内容や必要な資格、給料、働くメリットなどを徹底解説いたします。よくある質問や回答についてもまとめたので、是非転職の参考にしてください。
ショートステイとは?
普段は自宅で介護サービスを受けている要介護者が、家族の用事や仕事などさまざまな事情により自宅での介護が難しくなったとき、または家族の身体的、精神的な負担を軽減するために短期間入所し、介護を受けることをショートステイといいます。他にも、退院後すぐに自宅へ戻ることが不安な場合や、他の施設への入居待ちの期間を過ごすために利用する方もいます。利用するには要介護認定を受けていることが必要です。
1回の利用期間は30日と定められています。そのため、利用者の入れ替わりが頻繁にあることが特徴といえるでしょう。ショートステイでは日常的な介護ケアのほか、機能回復や維持のためのリハビリなども受けることができます。
利用者に適切な介護サービスを提供するほかに、日常的に介護を担う家族の負担を軽減し、休息を取ってもらうこともショートステイの重要な役割です。家族はその間介護から解放され、活力を回復することで、要介護者が家庭に戻ったときに安定した介護環境を整えることができます。そのため、ショートステイは一時休息や息抜きを意味する「レスパイトケア」とも呼ばれます。家庭内で介護を担う家族にとって、なくてはならないサービスといえるでしょう。
ショートステイの種類
ショートステイには「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の二種類があります。
短期入所生活介護
短期入所生活介護は比較的介護度が低く、体調が安定した利用者が利用するサービスで、介護職員が中心となって運営されます。身体機能の維持や回復を目的としており、身体介護や生活支援、レクリエーションなどを提供します。
短期入所療養介護
医学的管理が必要な人は短期入所療養介護を利用します。入所要件は「短期入所生活介護」と同じですが、看護師などの医療スタッフが充実した環境で医療ケアや機能訓練などの医療支援を提供します。
ショートステイには単独型の施設もありますが、特別養護老人ホームや介護老人保健施設に併設されていることが一般的です。「短期入所療養介護」の場合には医療スタッフが常駐している施設を利用することになります。
ショートステイで働く介護職員の仕事内容は?
具体的な仕事内容は施設により異なりますが、ここでは代表的な業務を紹介します。
生活サポート
食事や入浴、排泄など高齢の利用者が日常生活を送るためのサポートが主な仕事です。また、施設では利用者の気分転換などのため、豆まきや七夕などの季節のイベントや、軽い運動などさまざまなレクリエーションが1日のスケジュールに組み込まれています。介護職員はこうしたプログラムの企画、準備、進行なども担当します。
送迎付き添い
ショートステイでは入退所の際、利用者と一緒に送迎車に乗り込み、自宅と施設の送り迎えをします。送迎時に家族と顔を合わせたときには、施設での様子や気がついたことなどを家族に報告・確認します。また、施設への要望を受け止め、介護についての相談に乗ることも大切です。
夜勤業務
ショートステイは滞在型の施設のため夜勤があります。主な仕事は施設内を巡回して利用者を見守ること、排泄の介助やおむつ交換、体位交換などです。利用者の介護度により夜勤の内容は様々です。
ショートステイの仕事の1日のスケジュールは?
勤務時間やスケジュールは施設により異なりますが、ここでは一般的な日勤・夜勤の例をご紹介します。
日勤のスケジュール
8:30 | 出勤。夜勤スタッフからの申し送り、スケジュール確認 |
9:00 | 食事後の口腔ケア、バイタルチェック、食後の片付け |
10:00 | 排泄介助、入浴介助 |
12:00 | 昼食。食事介助、服薬介助、食事休憩 |
14:00 | レクリエーションなど |
15:00 | おやつ。介助が必要な利用者をサポートする |
15:30 | 自宅へ帰宅する利用者の帰宅準備など |
16:00 | 送迎付き添い。送迎車に同乗し、帰宅する利用者を自宅へ送る |
17:00 | 事業所へ戻り書類記入。夜勤スタッフへ引き継ぎ |
17:30 | 退勤 |
夜勤のスケジュール
16:30 | 出勤。日勤スタッフからの申し送り |
17:00 | 夕食。食事介助、服薬介助 |
18:00 | 夕食片付け。食後の口腔ケア |
20:00 | 就寝準備(着替えの介助、排泄介助など) |
21:00 | 消灯 |
22:00 | 施設内を巡回し夜間見守り。 必要に応じておむつ交換、呼び出しコール対応、休憩 |
6:00 | 朝食準備 |
7:00 | 起床。着替えの介助、排泄介助など |
7:30 | 朝食。食事介助、服薬介助 |
8:30 | 朝食片付け。書類記入、日勤スタッフへ申し送り。退勤 |
ショートステイで働くために必要な資格やスキルは?
ショートステイで勤務するために必要な資格・スキルは以下の通りです。
必要な資格
ショートステイでは、資格を持っていない人も介護職として働くことができます。生活サポートが中心となるため、介護の仕事が初めての人でもチャレンジしやすい職場といえるでしょう。
ただし、初任者研修や実務者研修、介護福祉士などの介護関連の資格を持っていると、仕事に役立ったり、転職しやすいというメリットがありますので、介護職として勤務する方は取得することも検討しましょう。
歓迎される資格やスキル
臨機応変な対応力
ショートステイの利用者は直前まで自宅で過ごしていた方も多いため、強く帰宅を望む方がよく見受けられます。こうした状況では、介護スタッフは相手の気持ちを理解したうえでの臨機応変な対応が求められます。施設のスケジュールやルールを押し付けるのではなく、根気強くコミュニケーションをとり、ゆっくりと施設に馴染んでいただくことが大切です。
情報収集力
短期滞在型の施設であるショートステイは、短期間に多くの利用者と関わります。利用者の身体状況や性格など、介護サービスに必要な情報を時間をかけて集めることは、難しい環境です。限られた時間の対応であっても、利用者を注意深く観察し、必要な情報を収集するスキルを高めていくことが必要です。そして、その情報から判断し、一人ひとりに適したサポートを提供します。
コミュニケーション力
滞在期間が短いショートステイでは、じっくりと時間をかけて利用者との信頼関係を築くことは難しいかもしれません。しかし、短期間の滞在であっても気持ちよく、安心して施設を利用してもらうことが重要です。そのため、利用者や家族に積極的にコミュニケーションをとり、介護サービスに生かしていくことが求められます。高齢者と話すことが苦にならない人、気付いたことがあったら進んで行動できる人は歓迎されるでしょう。
ショートステイで働く介護職員のお給料は?
ショートステイで働く介護職員の平均給与を紹介します。
短期入所生活介護を受け入れている施設には、「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」、「有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護事業所)」、「小規模居宅型事業所」などがあり、短期入所療養介護を行う施設は「介護老人保健施設」や「介護医療院」、「介護療養型医療施設」などです。施設形態によって平均給与は異なります。
施設形態 常勤 非常勤 介護老人福祉施設 348,040円 211,260円 介護老人保健施設 339,040円 287,360円 介護療養型医療施設 276,400円 - 特定施設入居者生活介護事業所 313,920円 216,860円 小規模多機能型居宅介護事業所 287,970円 211,700円 認知症対応型共同生活介護事業所 291,080円 200,410円
ショートステイで働くメリット
ショートステイで勤務するメリットは以下の通りです。
様々な経験ができ、対応力が鍛えられる
ショートステイは短期滞在での対応になるため、短期間で利用者の身体状態や性格を把握し、臨機応変に一人一人に適したケアを提供する対応力が鍛えられます。次々と新しい利用者が入るため、必要とするサポートがそれぞれ異なり、介護の知識や技術が着実に増えていきます。
多くの利用者と関わることができる
短期間で数多くの利用者と関わることができるところも魅力のひとつです。限られた時間の中で信頼関係を構築するコミュニケーション力が身につき、日々新しい利用者と接するため、新鮮な気持ちで働くことができる職場といえます。
ショートステイで働くデメリット
一方で、ショートステイで勤務することで考えられるデメリットは以下の通りです。
利用者と深い信頼関係を築きにくい
滞在期間が短いため、利用者と十分な信頼関係を築けないことがあります。常連の利用者が多い傾向はありますが、入れ替わりが多いため、一人ひとりの身体状態や性格などを短期間で把握することが難しいと感じる人もいるでしょう。利用者とじっくり関わりながら信頼関係を築いていきたい人にとっては物足りなく、慌ただしさを感じる環境かもしれません。
また、信頼していただけるようになった頃に退所する利用者が多く、寂しく感じてしまうと話すスタッフもいます。
臨機応変に対応しなければならない
多くの利用者と接するため、その場に合わせて臨機応変に対応することが求められます。経験したことのないイレギュラーなケースに遭遇したときにも対応できるよう幅広い知識が必要とされ、難易度が高いと感じられることがあります。
施設によっては職場を異動する可能性がある
特別養護老人ホームに併設されている施設が多く、職場はショートステイに限らず、特別養護老人ホームと兼務・異動する可能性があります。
ショートステイの仕事が向いている人の特徴
ショートステイでの仕事に向いている人は以下のような方です。
臨機応変な対応ができる人
多くの利用者と接するため、一人ひとりの利用者の特徴を短期間で覚え、臨機応変に介護ケアを提供することが求められます。利用者の立場に立ち、柔軟な対応ができる人はショートステイの仕事に向いているといえるでしょう。
コミュニケーション好きな人
初めて、もしくは久しぶりにお会いした利用者と臆せずコミュニケーションを取り、関係性を作ることができる人、また多くの利用者と関わりながら仕事をしたい人にはおすすめの職場です。
ショートステイのお仕事に関するよくある質問
ショートステイのお仕事について気になるこんなこと。よくある質問に介護専門のキャリアアドバイザーが回答します。
Q.利用者の入退所は頻繁にありますか?
ショートステイは短期入所を目的とするサービスのため、入れ替わりが多い環境にあります。多くの利用者を担当できるため、幅広い経験を積むことができ、自身のスキルアップに繋がります。
Q.土・日・祝日は休めますか?
交代制で休日は問題なく取れます。しかし、ショートステイは一般的に土・日・祝日に利用者が多くなる傾向にあるため、他の施設に比べて土・日・祝日は休みにくい可能性があります。
まとめ
ショートステイは、普段自宅で介護を受けている方が、短期間入所して介護ケアを受ける施設です。主に生活サポートを行う「短期入所生活介護」と医療ケアを提供する「短期入所療養介護」の2種類があります。また、ショートステイは単独型の施設もありますが、特別養護老人ホームなどの入所施設に併設されている施設も多くあります。
1回の入所期間は最長でも30日と短いため、利用者の入退所は頻繁です。そのため、介護スタッフは短期間で利用者の身体状態や性格を把握し、臨機応変に対応することが求められます。数多くの利用者と接しながら介護スキルをアップさせたい人には向いている職場といえるでしょう。
一方で、一人ひとりの利用者と深く関わりながら介護の仕事をしたい人にとっては物足りなさを感じることがあるかもしれません。理想とする働き方の方向性を見極めることが大切です。
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